きれいなもの。

私は下校途中でした。
相変わらず、格好は白いエナメルバッグに朱色の傘、そして真っ黒なダッフルコート。
ちょっと趣味悪いかなーと、いつものように思っていた。
そんなとき。


私は彼女に会った。
彼女はとてもきれいな青い瞳を持っていた。
思わず見入ってしまっていると、彼女の隣で一緒に歩いていた若い女性が言った。
「触っても良いよ?」
その魅惑的な申し出を断るには、私は幼過ぎたようだ。
思わず綺麗に手入れされた髪の毛に手が伸びる。
絹のような手触りだった。


彼女達と別れた後も、私の手にはその感触が残っていた。












下校途中に犬とその飼い主に会った話。